今井むつみ:生成AI時代に求められることばの力と思考力——慶應義塾
概要
慶應義塾名誉教授・今井むつみ氏が、生成AIと人間の言語習得・推論の根本的な違いを論じた論考。AIは統計的な帰納推論で次の単語を予測するが、人間の日常的な思考の核は「アブダクション推論」(不完全な情報から仮説を形成する推論)にあるという。生成AI時代に求められるのは、AIが不得意なアブダクションを含む豊かな思考力とことばの力だと主張する。
詳細
- 演繹・帰納・アブダクションの3種類の推論を比較
- 生成AIは帰納推論(データから統計的に次の単語を予測)が得意
- 人間が日常的に使うのはアブダクション推論——不完全な情報から最も妥当な仮説を立てる推論(例:誤ったタイトルを伝えた図書館利用者の意図を司書が言い当てる)
- アブダクションは19世紀の哲学者チャールズ・サンダース・パースが「科学的探究における仮説形成推論」として提唱
- 子どもの言語習得はあらゆる点でAIの学習と対照的であり、人間言語の本質的特徴について洞察を与える