バガヴァッド・ギーター 第1ブロック:カルマ・ヨーガとジュニャーナ・ヨーガ(第1〜6章)
バガヴァッド・ギーター 第1ブロック:カルマ・ヨーガとジュニャーナ・ヨーガ(第1〜6章)
クルクシェートラの戦場を舞台に、アルジュナの絶望から始まり、クリシュナが行為・知識・瞑想の道を段階的に説く導入ブロック。
第1章:アルジュナの苦悩(Arjuna Vishada Yoga)
- 舞台:クルクシェートラの戦場。パーンダヴァ軍とカウラヴァ軍が対峙。
- アルジュナは敵陣に親族・師・友人を見て戦意を失い、弓を置いて嘆く。
- 「どうして親族を殺して勝利を得られようか」という根本的な倫理的問いを提起。
- この苦悩がギーター全体の出発点となる。
第2章:サーンキヤのヨガ(Sankhya Yoga)
ギーターの哲学的核心が最初に凝縮される最重要章。
魂の不滅
- アートマン(真我・魂)は生まれず、死なず、永遠不変。
- 「剣は魂を切れず、火は燃やせず、水は濡らせず、風は乾かせない」
スティタプラジュニャ(智慧に確立した者)の描写
- 苦に動じず、楽に執着せず、欲望・怒り・恐れを超えた者の姿を説く。
- ヨガの実践者の理想像。
ニシュカーマ・カルマ(無執着の行為)
- 行為の結果への執着を捨て、義務として行為せよ。
- 「行為のみが汝の権利であり、結果は決してそうではない」(2.47)― ギーター最重要の一節。
第3章:カルマ・ヨーガ(Karma Yoga)
- なぜ行為を捨てず実践すべきかを論じる。
- スヴァダルマ(自己の義務):自分に定められた義務を果たすことが最善。他人の道を模倣するより、自己の道を不完全に歩む方がよい。
- ヤジュニャ(供犠・捧げもの):全ての行為を神への奉献として行う。
- ローカサングラハ(世界の維持):賢者は自らの利益のためでなく、世界の秩序維持のために行為する。
第4章:知識と放棄のヨガ(Jnana Karma Sannyas Yoga)
- クリシュナ自身が「アヴァターラ(神の化身)」であることを宣言。
- 神の化身の目的:「善人の保護、悪人の滅亡、正義の確立のために、私は時代ごとに生まれる」(4.8)
- 知識の火:識別知(ジュニャーナ)はあらゆるカルマを灰に帰す。
- 行為の中の不行為:行為しながらも行為しない者、これが真のヨギである。
第5章:行為の放棄(Karma Sannyas Yoga)
- カルマ・ヨーガ(行為)とジュニャーナ・ヨーガ(知識)は本質的に同じ道。
- 真の放棄とは行為を外面的にやめることではなく、内面の執着を手放すこと。
- ブラフマ・ニルヴァーナ:全ての生き物に平等の眼を向け、感覚の欲求から解放された者は神の至福(ニルヴァーナ)に達する。
第6章:ディヤーナ・ヨーガ(Dhyana Yoga)
瞑想の実践について最も具体的に説く章。
瞑想の実践法
- 静かな場所でクシャ草の上に鹿皮・布を重ねた座を設ける。
- 身体・頭・首を一直線に保ち、目は鼻先に向ける。
- 心を一点に集中し、神を瞑想する。
心の制御
- 「心は動揺しやすく、制御しにくいが、修習(アビヤーサ)と離欲(ヴァイラーギャ)によって制御できる」(6.35)
- パタンジャリのヨーガ・スートラと共鳴する重要な記述。
ヨガの中道
- 食べ過ぎず・食べなさすぎず、眠りすぎず・眠らなさすぎず。節制が実践の基本。
ユンジャノ(ヨガに結合した者)の境地
- 全ての存在の中に自己を見、自己の中に全ての存在を見る。
- この境地に達した者はいかなる状況でも神の中に留まる。