バガヴァッド・ギーター 第3ブロック:ジュニャーナ・ヨーガと解脱(第13〜18章)
バガヴァッド・ギーター 第3ブロック:ジュニャーナ・ヨーガと解脱(第13〜18章)
ギーターの哲学的総括。宇宙の構造・グナの性質・解脱の条件を詳述し、最終章で全ての教えを集約する。
第13章:クシェートラとクシェートラジュニャのヨガ(Kshetra Kshetrajna Vibhaga Yoga)
- クシェートラ(場・身体):変化する物質的存在。五大元素・自我・知性・感覚器官など24の要素から成る。
- クシェートラジュニャ(場を知る者・真我):変化しない純粋意識。あらゆる身体に遍在する。
- ブラフマン(究極的な場を知る者):全ての身体に宿りながら不変の存在。
- 真の知識とは、この身体と真我を識別し、プラクリティ(自然)から真我を解放することへの洞察。
第14章:三グナのヨガ(Gunatraya Vibhaga Yoga)
三グナ(自然の三性質)がいかに人間の意識・行動・再生を規定するかを詳述。
| グナ | 性質 | 心への影響 | 結果 |
|---|---|---|---|
| サットヴァ | 明晰・純粋 | 知識・幸福・執着なき喜び | 高い境地への再生 |
| ラジャス | 活動・情熱 | 欲望・執着・不断の行為 | 行為者への再生 |
| タマス | 惰性・暗黒 | 無知・怠惰・放縦 | 低い境地への再生 |
- グナを超えた者(グナティータ):三グナのどれが支配的でも動じず、傍観者として留まる者。これがヨガの究極の境地。
- グナを超える方法は、ただバクティ(帰依)による。
第15章:至高の魂(Purushottama Yoga)
- 聖なるアシュヴァッタの木(逆さまの木):根が上(ブラフマン)にあり、枝が下(世界)に広がるウパニシャッドの比喩を引用。この木を識別の斧で切ることで解脱が得られる。
- 三種のプルシャ(魂):
- クシャラ(可滅的):全ての変化する存在
- アクシャラ(不滅的):変化しない原理・クータスタ
- プルショッタマ(至高の魂):クリシュナ自身。上の二つを超えた究極の存在。
- 「私(クリシュナ)はプルショッタマとしてヴェーダにも、世界にも知られている」(15.18)
第16章:神的性質と悪魔的性質(Daivasura Sampad Vibhaga Yoga)
- 神的性質(ダイヴィー・サンパット)26の徳:無恐怖・心の清浄・知識・慈悲・非暴力・真実・怒りなさ・穏やかさ・謙虚さなど。
- 悪魔的性質(アースリー・サンパット):傲慢・欲望・怒り・偽り・聖典への不服従。
- 「欲望・怒り・貪欲は地獄への三つの門である。これを捨てよ」(16.21)
- 聖典を指針として行動し、聖典に反する欲望を捨てることが解脱への道。
第17章:三種の信仰(Shraddhatraya Vibhaga Yoga)
あらゆる人間の活動が三グナに対応する三種に分類される。
| 項目 | サットヴァ的 | ラジャス的 | タマス的 |
|---|---|---|---|
| 信仰 | 神・賢者への帰依 | 夜叉・羅刹への崇拝 | 霊・死者への崇拝 |
| 食事 | 新鮮・活力を与える | 辛い・苦い・刺激的 | 腐敗した・不潔 |
| 苦行 | 心身の浄化 | 見せかけの苦行 | 愚かな自己虐待 |
| 布施 | 義務として与える | 見返りを期待して与える | 不適切な場で与える |
- OM・TAT・SAT:この三語がブラフマンの象徴とされ、全ての行為をこの精神で行うことが推奨される。
第18章:放棄と解脱(Moksha Sannyas Yoga)
全18章の教えを集約する総括章。
サンニャーサとティヤーガの区別
- サンニャーサ(出家放棄):欲望に基づく行為の放棄。
- ティヤーガ(真の放棄):行為の結果への執着の放棄。クリシュナはティヤーガを推奨。
五種の行為の原因(サーンキヤの分析):場(身体)・行為者(真我)・感覚器官・努力・神意。
知識・行為・知る者の三種類:各々サットヴァ的・ラジャス的・タマス的に分類。
ヴァルナ(社会的義務)とスヴァダルマ:バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラそれぞれに固有の義務がある。自己の義務を果たすことで神に達することができる。
最高の秘密(ギーターの結論)
- 「私(クリシュナ)について考え、私に帰依し、私を崇拝し、私に礼拝せよ。そうすれば汝は必ず私に至るであろう。これは誓いである」(18.65)
- 「全ての義務を捨て、ただ私だけに帰依せよ。私は汝を全ての罪から解放する。悲しむな」(18.66)― ギーター最大の宣言。
ギーターを聞く・伝えることの功徳:ギーターを正しく理解し伝える者は神を崇拝したことになる。
アルジュナの決意:「私の迷いは消えた。あなたの言葉によって知識を得た。私は疑いを去り、あなたの御言葉通りに行います」(18.73)― 全ての問いへの完結。