ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 第1章:アーサナ(Asana)
ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 第1章:アーサナ(Asana)全67詩節
スワートマーラーマによる15世紀の名著。第1章はハタ・ヨーガの概説と15のアーサナを詳述する。
序論:ハタ・ヨーガの目的と系譜
- ハタ・ヨーガはラージャ・ヨーガ(サマーディ)へ至るための準備としての道。
- 「太陽と月の合一」:ハ(太陽・右の息)とタ(月・左の息)の融合によってスシュムナー(中央のナーディー)が開かれる。
- 師の系譜(グル・パランパラー):シヴァから始まりマツィエンドラナート・ゴーラクシャナートへと伝わる。
- 修行の環境:静かで清潔、虫・寒さ・雨を避けられる小屋。過小でも過大でもない空間。
- 六つの障害:過食・過労・多弁・戒律の固執・人との交わり・心の不安定。
- 六つの成功の条件:熱意・断固たる決意・勇気・正しい知識・師への信仰・大衆との非交わり。
15のアーサナ詳述
1. スヴァスティカーサナ(吉祥座)
- 両足の甲を反対の脛の間に入れ、脊柱を真っすぐに保つ座法。
- 三つのドーシャ(体質的不均衡)を消滅させるとされる。
2. ゴームカーサナ(牛面座)
- 両足を組み、膝を重ねた状態で足首を臀部の両側に置く。
- 牛の顔に形が似ることから命名。
3. ヴィーラーサナ(勇者座)
- 片足をもう一方の腿の上に置き、反対の足を地面につける。
4. クールマーサナ(亀座)
- 亀のように四肢を収縮させる座法。
5. クックタアーサナ(雄鶏座)
- パドマーサナの状態で、腕を腿と脛の間に通し床を押して身体を持ち上げる。
- 上腕の強化と心の安定に効果的。
6. ウッタナクールマーサナ(亀の伸展座)
- クックタアーサナから背中を亀の甲羅のように丸める変型。
7. ダヌラーサナ(弓座)
- うつ伏せで足首を掴み、弓のように身体を反らせる。
8. マツィエンドラーサナ(魚王座)
- ナート派の師マツィエンドラナートにちなむ。
- 腹腔の火(ジャータラーグニ)を強め、あらゆる病を消すとされる。
- スピナルツイストの原型。
9. パシュチマッターナーサナ(背部伸展座)
- 座位で前屈し、両手で足先を掴む。
- プラーナをスシュムナーに流し、消化の火を高め、腹部を引き締める。
- 男性には特に有益とされる。
10. マユラーサナ(孔雀座)
- 両手のひらを床につけ、肘を腹部に当て身体を水平に浮かせる。
- あらゆる病を消し、毒さえも中和するとされる。腹の火を高める。
11. シャヴァーサナ(屍座)
- 死体のように仰向けに横たわる。
- 身体の疲労を取り除き、心の安定をもたらす。
- 現代ヨガでも必須のリラクゼーション・ポーズ。
12. シッダーサナ(成就座)
- 最も重要なアーサナ。84のアーサナの中の王。
- 踵を会陰に当て、もう一方の踵をリンガ(陰部)の上に置く。
- ブラフマチャリヤ(禁欲)の実践者に最適。
- 12年の実践でシッディ(成就)が得られるとされる。
13. パドマーサナ(蓮華座)
- 両足を反対の腿の上に置き、手は膝の上に置く。
- 最もよく知られる瞑想座。あらゆる病を消すとされる。
- ウルドヴァ・パドマーサナ:パドマーサナのまま両手で床を押して身体を持ち上げる変型。
14. シンハーサナ(獅子座)
- 踵を会陰の下に置き、両手を膝の上に広げ、口を開けて舌を出し前方を凝視する。
- 三つのバンダを引き起こすとされる。
15. バドラーサナ(吉祥座)
- 足の裏を合わせ、手で足先を掴む。あらゆる病を消すとされる。
アーサナ実践の心得
- アーサナによって身体の安定・健康・軽さが得られる。
- アーサナに熟達した後、プラーナーヤーマ(呼吸法)の実践に移る。
- 食事の節制:苦い・酸っぱい・辛い・塩辛い・熱い食品、油物、肉類、酒を避ける。古い米・麦・大麦・緑豆・蜂蜜・水・根菜・果物が推奨される。
- ミタ・アーハーラ(節食):胃の4分の1を空けて食事をする。