ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 第2章:プラーナーヤーマ(Pranayama)
ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 第2章:プラーナーヤーマ(Pranayama)全78詩節
シャットカルマ(六種の浄化法)と8種のプラーナーヤーマを詳述する章。ナーディーの浄化を通じてプラーナをスシュムナーへ導くことが中心テーマ。
ナーディーとプラーナの概説
- 72,000のナーディー(エネルギー通路):身体に張り巡らされるエネルギーの通路。
- 主要三ナーディー:
- イダー(左・月・陰):左鼻孔と対応
- ピンガラー(右・太陽・陽):右鼻孔と対応
- スシュムナー(中央):脊柱に沿う中央の道。クンダリニーが上昇する通路
- プラーナーヤーマの目的はナーディーを浄化し、プラーナをスシュムナーへ流すこと。
シャットカルマ(六種の浄化法)
身体に不純物が多い場合、プラーナーヤーマの前に行う浄化実践。
1. ダウティ(Dhauti)消化管の洗浄
- 湿らせた細い布を飲み込み、胃を洗浄する。
- カフ・胆汁・痰・粘液の疾患を除くとされる。
2. バスティ(Basti)大腸の洗浄
- 水中に腰まで浸かり、肛門括約筋を収縮・拡張させて水を腸内に吸い込む。
- 脾臓・腹部疾患・ヴァータ・ピッタ・カファのドーシャを消すとされる。
3. ネーティ(Neti)鼻腔の洗浄
- 細いひもを鼻孔から入れ口から引き出す(スートラ・ネーティ)。
- 頭蓋上部の疾患を取り除き、眼力を高めるとされる。
4. トラーターカ(Trataka)凝視法
- 小さな対象(炎・点など)を涙が出るまで見つめる。
- 眼の疾患を除き、シャンボヴィー・ムドラーへの準備となる。
5. ナウリ(Nauli)腹部回転法
- 腹直筋を左右交互に動かす技法。
- 消化の火を高め、消化器系の全疾患を除くとされる。
6. カパーラバーティ(Kapalabhati)頭蓋輝化
- 鞴のように素早く呼気を繰り返す。
- カフ(粘液)の疾患を除くとされる。
8種のプラーナーヤーマ
1. スールヤ・ベーダナ(Surya Bhedana)太陽貫通呼吸
- 右鼻孔(ピンガラー・太陽)から吸気、左鼻孔(イダー・月)から呼気。
- ヴァータ(風)の疾患を除き、体内の虫を駆除するとされる。
2. ウッジャーイー(Ujjayi)勝利の呼吸
- 喉を収縮させて音を立てながら両鼻孔から呼吸。
- 粘液・カフの疾患・消化不良を除き、神経系を強化する。
- 歩行中でも実践可能な唯一のプラーナーヤーマ。
3. シートカーリー(Sitkari)歯を使った冷却呼吸
- 歯の間から口で吸気し、鼻から呼気。
- 身体を冷やし、美しさと若さを保つとされる。
4. シータリー(Shitali)舌を使った冷却呼吸
- 筒状に丸めた舌から吸気し、鼻から呼気。
- 発熱・炎症・脾臓・胆汁の過剰を除くとされる。
5. バストリカー(Bhastrika)鞴の呼吸
- 最も重要なプラーナーヤーマの一つ。
- 素早く力強い吸気・呼気を繰り返し、最後に保息(クンバカ)を行う。
- ナーディーを浄化し、クンダリニーを刺激し、消化の火を高め、カフを除くとされる。
6. ブラーマリー(Bhramari)蜂の呼吸
- 吸気時に蜂の羽音のような音を立て、呼気時にも低い音を出す。
- 心に至福をもたらし、深い瞑想状態への入口となる。
7. ムールチャー(Murcha)気絶の呼吸
- 吸気後に長く保息し、意識が溶けるような状態まで続ける。
- 心の安定と無執着の喜びをもたらすとされる。
8. プラヴィニー(Plavini)浮遊の呼吸
- 胃に空気を満たし、水の上に浮くことができるようになるとされる特殊な技法。
クンバカ(保息)の重要性
- プラーナーヤーマの核心は保息(クンバカ)にある。
- サヒタ・クンバカ(意図的な保息):吸気・保息・呼気の意識的な制御。
- ケーヴァラ・クンバカ(自然な保息):吸気・呼気の区別なく、自然にプラーナが止まった状態。最高の達成。
プラーナーヤーマの効果の段階
- 身体からの汗の出現
- 身体の震え
- 身体の浮揚(ウッティタ)
最終的にプラーナはスシュムナーに入り、心は安定し、サマーディへの道が開かれる。