ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 第3章:ムドラーとバンダ(Mudra & Bandha)
ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 第3章:ムドラーとバンダ(Mudra & Bandha)全130詩節
本書最長の章。10種のムドラーと3種のバンダを詳述し、クンダリニーの覚醒とスシュムナーの開口を実現する技法の核心を説く。
ムドラー・バンダの重要性
- 「ムドラーはシヴァ(究極意識)を喜ばせる」
- ムドラーとバンダはプラーナをスシュムナーへ導き、クンダリニーを覚醒させるための直接的な技法。
- アーサナ・プラーナーヤーマより上位の実践として位置づけられる。
10種のムドラー
1. マハー・ムドラー(Maha Mudra)大印契
- 左踵を会陰に当て、右足を伸ばし、両手で足先を掴み、ジャーランダラ・バンダを行いながら保息する。
- 結核・消化不良・脾臓肥大・便秘・発熱などあらゆる病を除くとされる。
- ナーディーを浄化し、死さえも征服するとされる最も重要なムドラーの一つ。
2. マハー・バンダ(Maha Bandha)大封鎖
- マハー・ムドラーの後に行う。左踵を会陰に当て、右足を左腿の上に置く。
- プラーナをスシュムナーに導き、老いと死を征服するとされる。
3. マハー・ヴェーダ(Maha Vedha)大貫通
- マハー・バンダの状態で両手で床を押し、臀部を持ち上げて軽く床を叩く。
- 三つのナーディー(イダー・ピンガラー・スシュムナー)を貫通させる。
- この三つのムドラー(マハー・ムドラー・マハー・バンダ・マハー・ヴェーダ)は一組として実践される。
4. ケーチャリー・ムドラー(Khechari Mudra)空中遊行の印契
- 舌を軟口蓋の奥(眉間の後方にある空洞、ブラフマランドラへの通路)まで折り返す。
- 段階的に舌の繋ぎ目(舌小帯)を少しずつ切り、舌を伸ばしていく。
- 「この印契を行う者は毒に侵されない、疲れない、老いない、死なない」とされる最高のムドラー。
- アムリタ(不死の甘露)が眉間から滴り、それをケーチャリーで受け止めることで不老不死が達成されるとされる。
5. ウッディヤーナ・バンダ(Uddiyana Bandha)上昇封鎖
- 呼気後に腹部を背部へ引き込み、横隔膜を持ち上げる。
- 「プラーナが上昇するから『ウッディヤーナ』と呼ばれる」
- 老いと死を征服するとされ、全てのバンダの中で最も重要とされる。
6. ムーラ・バンダ(Mula Bandha)根底封鎖
- 会陰(ペリネウム)を収縮・引き上げる。
- アパーナ(下行気)を引き上げ、プラーナ(上行気)と合一させることでクンダリニーを刺激する。
- 老いを除き、ヨガの成就をもたらすとされる。
7. ジャーランダラ・バンダ(Jalandhara Bandha)網の封鎖
- 吸気後に顎を喉元(胸骨上部)に引き付ける。
- 喉のナーディーを締め、アムリタ(甘露)が下がるのを防ぐ。
- 16の支点(アーダーラ)を制御し、死さえも征服するとされる。
三大バンダの統合(マハー・バンダ):ムーラ・バンダ+ウッディヤーナ・バンダ+ジャーランダラ・バンダを同時に行うことで、プラーナは完全にスシュムナーに入る。
8. ヴィパリータ・カラニー(Viparita Karani)逆転法
- 足を上、頭を下にする逆転ポーズ。
- 太陽(臍)が月(口蓋)のアムリタを飲み込むのを防ぐ逆転の技法。
- 毎日少しずつ時間を増やして実践する。
9. ヴァジュローリー・ムドラー(Vajroli Mudra)金剛の印契
- ヨガの奥義の一つ。禁欲の誓いなしにヨガの成就を得るための技法とされる。
- 性的エネルギー(ビンドゥ)を上昇させ、失われないよう保持する。
- 詳細は師から直接伝授されるべきとされる秘法。
10. シャクティ・チャーラナ(Shakti Chalana)シャクティ(エネルギー)の動かし方
- クンダリニー・シャクティを覚醒・移動させる技法の総称。
- プラーナーヤーマ・バンダ・ムドラーを組み合わせて行う。
- 「眠れる蛇(クンダリニー)を棒で叩き起こすように」プラーナでクンダリニーを覚醒させる。
クンダリニーについて
- クンダリニーは3と1/2回巻いた蛇の形でムーラダーラ・チャクラに眠る。
- 全ての知識・解脱の鍵を握る力。
- ハタ・ヨーガ・プラディーピカーはクンダリニーの覚醒を本書の実践の中心的目標として位置づける。
- 覚醒したクンダリニーはスシュムナーを通り、チャクラを一つずつ突き抜けてサハスラーラ(頭頂)に至り、シヴァとシャクティの合一(サマーディ)が成就する。