マントラ・ストトラ集:主要マントラの意味と用途
マントラ・ストトラ集:主要マントラの意味と用途
ヨガ実践において重要な主要マントラをサンスクリット原文・読み方・意味・用途とともにまとめたリファレンス。
マントラとは
- 「マナス(心)を解放するもの(トラーナ)」の意。
- 聖音・神聖な言葉の組み合わせ。反復(ジャパ)によって意識を変容させる。
- 振動の力(スパンダ):特定の音は特定の意識状態・エネルギーを引き起こす。
- 種類:ビージャ(種字)マントラ・神格マントラ・保護マントラ・ガーヤトリー系など。
根本マントラ
OM(オーム / AUM)
サンスクリット:ॐ 読み方:A(アー)・U(ウー)・M(ム)・沈黙の4音節から成る。 意味:宇宙の根本音。全ての創造・維持・溶解を象徴。
- A:覚醒状態・ブラフマー(創造)
- U:夢見状態・ヴィシュヌ(維持)
- M:深眠状態・シヴァ(溶解)
- 沈黙:トゥリーヤ(第四状態)・絶対
用途:全ての瞑想・プラーナーヤーマの開始と終了。クラス・儀礼の開始。
ガーヤトリー・マントラ
サンスクリット: オーム・ブール・ブヴァ・スヴァハ タット・サヴィトゥル・ヴァレーニャム バルゴ・デーヴァスヤ・ディーマヒ ディヨー・ヨー・ナハ・プラチョーダヤート
意味:「私たちはあの神聖なる太陽(サヴィトリ)の光を瞑想する。その光が私たちの知性を照らし導きたまえ」
用途:日の出・正午・日没の三時に唱える。知性の啓発・霊的浄化。ヴェーダで最も重要なマントラの一つ。
シヴァ系マントラ
オーム・ナマ・シヴァーヤ(Panchakshara)
サンスクリット:ॐ नमः शिवाय 意味:「オーム、シヴァに礼拝す」
- ナ=地・マ=水・シ=火・ヴァ=風・ヤ=空(五元素への浄化)
用途:シヴァへの帰依。五元素の浄化。最も広く唱えられるシヴァ・マントラ。
マハー・ムリトゥンジャヤ(Maha Mrityunjaya)
サンスクリット: オーム・トライヤンバカム・ヤジャーマヘー スガンディム・プシュティ・ヴァルダナム ウルヴァールク・ミヴァ・バンダナーン ムリトヨール・ムクシーヤ・マームリターット
意味:「私たちは三眼のシヴァを崇め奉る。芳香に満ちた、力を与えるお方を。瓜が蔓から解放されるように、どうか私を死から解放し、不滅へと導きたまえ」
用途:癒し・保護・死の超越。病気回復・危険からの保護に用いられる。108回の反復が推奨される。
ヴィシュヌ・クリシュナ系マントラ
オーム・ナモ・ナーラーヤナーヤ(Ashtakshara)
サンスクリット:ॐ नमो नारायणाय 意味:「オーム、ナーラーヤナ(ヴィシュヌ)に礼拝す」 用途:ヴァイシュナヴァ伝統の根本マントラ。解脱・保護・純化。
ハレ・クリシュナ・マハーマントラ
サンスクリット: ハレ・クリシュナ・ハレ・クリシュナ クリシュナ・クリシュナ・ハレ・ハレ ハレ・ラーマ・ハレ・ラーマ ラーマ・ラーマ・ハレ・ハレ
意味:クリシュナ(神)とラーマ(神の別名)への純粋な呼びかけ。ハレはシャクティ(神の力)への呼称。
用途:カリ・ユガ(現代)に最も適したマントラとされる(バーガヴァタ・プラーナ)。声に出して繰り返すキールタナに最適。
実践・ヨガ系マントラ
ソー・ハム(So Ham)
サンスクリット:सोऽहम् 意味:「私はそれなり(私はブラフマンなり)」
- 吸気:ソー(So)
- 呼気:ハム(Ham)
用途:呼吸と連動した最もシンプルな瞑想マントラ。「ハムサ(白鳥)」を逆にした形。初心者から上級者まで適用可能。
オーム・シャーンティ(Om Shanti)
サンスクリット:ॐ शान्तिः शान्तिः शान्तिः 意味:「オーム、平和・平和・平和」
- 三つのシャーンティはアーディ・ドゥッカ三種(内部・外部・神的苦)への平和の祈り。
用途:クラスや瞑想の締めくくり。
ビージャ(種字)マントラ一覧
各チャクラ・神格・元素に対応する根本音節。
| ビージャ | 対応 | 働き |
|---|---|---|
| LAM(ラム) | ムーラダーラ・地 | グラウンディング・安定 |
| VAM(ヴァム) | スヴァーディシュターナ・水 | 感情の流動性・創造性 |
| RAM(ラム) | マニプーラ・火 | 意志・消化の火 |
| YAM(ヤム) | アナーハタ・風 | 愛・慈悲 |
| HAM(ハム) | ヴィシュッダ・空 | 表現・コミュニケーション |
| OM(オム) | アージュニャー・光 | 直観・識別 |
| AIM(アイム) | サラスヴァティー | 知識・創造的芸術 |
| HRIM(フリーム) | マハーラクシュミー | 豊かさ・美・魔力 |
| KLIM(クリーム) | クリシュナ / カーリー | 引き寄せ・愛・変容 |
| SHRIM(シュリーム) | ラクシュミー | 繁栄・幸運 |
ジャパ(Japa)の実践方法
マントラを繰り返し唱える実践。
三種のジャパ
- ヴァーチカ(有声):声に出して唱える。初心者向け。最も粗大だが最もエネルギーが強い。
- ウパームシュ(微声):唇だけを動かし、自分だけに聞こえる声で唱える。
- マーナサ(心中):心の中だけで唱える。最も微細で最も高い効果があるとされる。
マーラー(数珠)の使い方
- 108珠(宇宙の聖数)のルドラクシャ(聖木の実)またはトゥルシー(聖バジル)のマーラーを使用。
- 親指と中指でマーラーを持ち、人差し指は使わない(自我の象徴とされる)。
- スメール(大きな珠)を超えたら方向を反転し、折り返す(超えない)。