ゴーラクシャ・パッダティ:ナート派の根本テキスト
ゴーラクシャ・パッダティ:ナート派の根本テキスト
ゴーラクシャナート(10〜11世紀)著。ハタ・ヨーガの最古の体系的テキストの一つ。Feuerstein(The Yoga Tradition)が世界初の英訳を収録した重要文献。
著者・成立背景
- ゴーラクシャナート(Goraksha Nath):ナート派の最重要人物。師マツィエンドラナートの弟子。
- ナート派(Natha Sampradaya):シヴァを源とするタントラ的ヨガの系譜。
- 成立年代:10〜12世紀頃。
- 現存するテキストは様々な編集・追加を経た可能性が高い。
テキストの構成と内容
全2章・100〜101詩節(版によって異なる)。
第1章:ハタ・ヨーガの基本原理
シッダーサナの重要性
- 84のアーサナの中でシッダーサナ(成就座)を最重要として強調。
- 「3年間シッダーサナで座る修行者は、成就に至る」
- ハタ・ヨーガ・プラディーピカーより古い記述。
ムドラーとバンダ
- マハー・ムドラー・ナボー・ムドラー・ウッディヤーナ・バンダ・ジャーランダラ・バンダ・ムーラ・バンダの詳述。
- 「ムドラーはあらゆる病を消し、神通力をもたらす」
クンダリニー
- クンダリニーを眠れる蛇として描写。
- 「足の親指でクンダリニーを叩き起こせ」という直接的な指示。
第2章:プラーナーヤーマと解脱
クンバカの重要性
- 保息(クンバカ)がハタ・ヨーガの核心と明言。
- 「プラーナが動く限り心は動く。プラーナが止まれば心も止まる」
- これがラージャ・ヨーガ(サマーディ)への道。
ナーダ(内なる音)
- 意識をナーダ(内なる音)に向けることでサマーディへと至る。
- ハタ・ヨーガ・プラディーピカー第4章のナーダ・アヌサンダーナの先駆け。
解脱の描写
- 「ラヤ(溶解)・マノンマニー(心の超越)・ウンマニー」など複数の用語でサマーディを表現。
- ハタとラージャの統一がゴーラクシャの核心メッセージ。
ゴーラクシャ・パッダティの歴史的意義
- ハタ・ヨーガを初めて体系的に記述したテキストの一つ。
- アーサナよりムドラー・バンダ・プラーナーヤーマを重視する古典的姿勢。
- ナート派の口伝をサンスクリット文書化した点で重要。
- ハタ・ヨーガ・プラディーピカー(15世紀)はこのテキストに大きく依存する。